自分のことを「これが自分です!」と明確に答えられる人はどのくらいいるのだろうか。
端的に言って、私は自分のことがよくわからない。
わからないというよりも、ある意味自分自身に恐怖心を覚えることがある。
平常、いつもの自分と思っているのは、自分や周りが作り上げた偶像でしかないかもしれない。
ある条件、ある状態に陥ったとき自分の知らない自分が顔をのぞかせる。
過去にも何度も”奴”とで会った。”奴”というよりも”奴ら”のほうが適切かもしれない。
環境や状況の劇的な変化を経験したとき、初めてその存在に気付く。
自分はこんなに弱い人間だったのか。
自分はそんな行動を起こしてしまう人間のか。
自分はそんな考えを持ってしまうのか。
己でも信じられない、信じたくない己がそこにはいる。
経験をつめばつむほど多種多様な自分がいることに気付く。
初めてその事実を知ったとき、私は不覚にも鬱状態に陥ってしまった。
本来の自分は自分でないのではないか。
他者もまた自分が思っているような他者ではないのではないか。
すべてのものへの信頼を失い、自分を失った気がした。
でも違っていた。
色んな”奴ら”を見てきて、後になっていくつか気付いたことがある。
”奴ら”もすべて己であり、他者ではないということ。
”奴ら”もすべて受け入れるべき現実なのであるということ。
逆に自分が見ている他者もまた、その一辺をを観測しているにすぎないということ。
他者もまた、その人自身も知らない一面を持っているということ。
人は絶えず無意識の中で変化しつづけているということ。
そんな自分や周りの人のことをもっと理解することが大事だということ。
自分の知らない自分を知ったとき、不安が少しだけ減ったように思えたこと。
今度はどんな”奴ら”と出会えるのか、そのことに希望を覚えることも、また確かなこと。
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