日別アーカイブ: 2005年10月3日

MACHINIST

MACHINIST.jpg
マシニスト
「すでに1年間365日眠っていない。」
のキャッチと力の入ったPR活動に負けました。
1年間不眠症に悩んでいた男の身に、次ぎつきと起こる不可解な現象。
男にちかずいてくるはげ男は誰なのか?
男はどうなってしまうのか?
「メメント」チックな画面構成になんだか最後まで食い入るように見てしまいますた。
主演のTREVOR CHISTIAN BALEは役作りのために病的に減量したそうで…。
改めて役者ってすげーな。
でも最近、
「ラストは誰にも行ってはならない」
的なサブキャッチが入っているのは正直2度見たいとは思わないんだけどね…。
でもなかなか世界観には乗り込めるかも?

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ある男の浮き沈み。3

海が見え始め、遠くの山々の連なりが見え始め、そのさらに奥には、うっすらと明るいグラデーションのかかった地平線が見え始めていた。
山々のところどころには白い部分があり雪残り、海には低いところに無数の小さな雲がかかり、時よりミニカーよりも小さなタンカーの姿が見えた。
いくつもの雲をつき抜け、どんどん加速していく、素っ裸のはずだが肌寒さは一切感じない。恐怖もいつの間にか、この不思議な状況をどうにか楽しもうとする心に打ち消されていくようだった。
足を組み腕を枕代わりにして浮かんでいく自分の滑稽さに笑っているのに気づいた。
大きな雲を抜けるとそこには大きな大きな月がまるで待ち構えていように堂々とした趣で鎮座していた。
足元には白い厚い雲。上には大きな満月。
月に呼ばれた。
その大きく煌々と光る月は何も語らない。
その雄大な姿は男をまるで見下すように強く照らし、あざ笑うかのように男の長い影を雲の上に作った。
「小さな君は、小さな世界で、小さな悩みを、小さな心に抱えて生きてたんだね。」
まるで耳元でそうささやかれたように感じた。
月は輝きを強め赤く血の色に変色していく。次の世界の入り口が開く儀式。
さっきまで足元にあった厚い白い雲は徐々に薄くなり始める。
そして不意に背中を何かがやさしく押しように思えた。
叫び声にならない悲鳴のような唸りの様な聞いたことのないような音を発しながら僕はどんどん地上に向かって落ちていく。
雲を抜け、風を切り、下半身の一物が取れてどこかに飛んでいってしまうんじゃないかと思えるほどのスピードで落下していく。
そのスピードのなか、今までの思い出が走馬灯によみがえってくる。
思い起こせば実はそんなに苦しいことばっかりじゃなかった。楽しかったり、悲しかったり、喜んだり、けんかしたり…。でも悩んだり苦しんだことも今となっては小さくくだらなく思えた。
そんな思いを巡らしながら男の目の前に白いもやがかかりだし、意識は次第に遠くなって行った。
そして激しい痛みが全身を襲い、体中の神経が一斉に脳へ激しい信号を送ってくる。
怒涛の痛みたちが自分の意識をかき消そうと必死に攻めて来た後、何も感じなくなり音も光も何もない苦しみも喜びも争いも嫉みも愛情も権力も名声もしがらみも責任も楽しみも何もない世界に飛び込んでいった…。
ホトトギスのさえずりとやわらかい日差しを全身に受け、男は目覚めた。
体がうまく動かない、視線を回りに向け今の自分のおかれている状態を理解しようとした。
真っ白な天井と壁に大きな窓、窓の外からやわらかい光が差し込んで、たぶん青空が広がっているんだろうと想像を膨らました。
ふと横を見ると一人の女性が開いたドアの前に立っているのが見えた。
その女性と目が合った後、彼女は少し驚いた様子を見せ、ドアの外へ駆け出していってしまった。
数分後。奇妙な白衣をきた初老の男が私を訪ねてきた。
「あなたは長い時間、眠り続けていたようです。
発見場所は不明ですが、外傷もなく脳にも異常は見当たらなかったそうです。
発見された時から意識はなく、ずっと眠り続けていたようです。」
そういうと笑みを浮かべ初老の男は去っていった。
呆然とした男は日が沈むことにも気づかずあのころから70年たった夜を迎えた。
ふと窓側のをのぞくと大きな赤い満月が見えた。
「やっと今のあなたをだれも知らない場所へくることができましたね。」
男は孤独を感じるよりも、悩んでいた自分を思い出し少し笑っっていた…。
おしまい

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