破滅的な話

定期検診を受けるため病院の内科受付で待っていた時の話。
予約の時間より早めに来てしまったので、長い待ち時間についうとうとしていた矢先。
「破滅的なんです。
あの人はもう破滅的なんです。
おいて帰りますので後はよろしくお願いします。」
衝撃的な響きが耳元をかすめた。
「あれははもう奴隷なんです。
奴隷の奴隷なんです。注射の順番も待てないくらいに…。」
内容は支離滅裂、何の話をしているのか。
あまりにも場にそぐわない言葉で顔を真っ赤にしてしきりに訴えている。
見たところ八十前後の銀髪の女性。
受付のおねーさんも対応に右往左往している模様
どうやら夫婦喧嘩の末にわがままな病気の夫をおいて帰るという話らしい。
しきりに破滅的な夫の破滅的なエピソードを
破滅的と揶揄しながら話す老女が
破滅的な理論を展開している破滅的な自分に気づく事はないだろう。
とりあえずその場では。
「もう別れる用意はできてます。お金は払いますから預けて帰ります。
病院でこのまま死ぬまで面倒を。先生にもよろしく言っといてください。」
受付のおねーさんもさすがにまずいと思ったか、一転諭すシーンに突入。
もう漫才かと。
「熟年離婚」と「モラルハザード」
現代社会の縮図がそこにあった。
その後、イメージを裏切らない千鳥足で
つるりんちょっとはげた頭の老人の出現には
さすがに下を向いて肩を揺らさずにはいられない自分がそこにあったのであった…。

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