甥と老いとオイ

お風呂で髪を洗う時顔に水がかかるのを嫌がり
だっこしてください!」と泣きついていた甥がスイミングスクールに通い始めた。
はじめは少しだと思った。鏡を見るたびに増えていく。
髭の手入れをしていて気づいたとき、ショックで髭を剃ってしまった。
鼻の中に釣り糸のような物を見つけたとき、落胆した。
股間を洗っていると、ふと、縮れたそれは違和感を覚えさせた。
さすがにわきの下には、まだない。
車が道をふさぐように止まっている。
ラッシュアワーはすぐに迫っている。
後方からクラクションが怒涛のように迫ってくる。
とりあえず車をかわした私は、問題の車に近づき理解した。
縁石を乗り越え前にも後ろにも進めないおばさんの車。
パニックを起こすおばさんをなだめジャッキで車を持ち上げる。
親切な人が三人手伝いに来てくれた。
4人で車を持ち上げ車をとりあえず渋滞をかわす。
問題解決したと思ったら、親切な人たちは、もうそこにはいなかった。
去り際、おばさんが私に声をかけてきた。
「名前も聞かないけどありがとう。あなたが来てくれたおかげで。」
おばさんを背にして手だけを上げてその場を去ったが、ふと。
名前ぐらい聞けよ。おばはん。
聞かない宣言なんかせずに…。
老女の肝の図太さに、乾杯。

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