死ぬかと思ったことをちびちびと
当時9歳
その年のクリスマスプレゼントはスキー道具一式。
父親が大のスキー好きだったらしく、半ば強制的に家族全員でスキーに生かされる羽目に。
日ごろから、自動車の運転に過度の自身を持つ父は、雨が降ろうと、雪が降ろうと関係なく、ノッキングを連発しながらシフトレバーを遅めに入れるのが癖のようだった。
まだ、高速道路などの整備も行き届いてはなく、いくつもの峠がスキー場までの道のりの障害になる時代。
その中でも、もっとも事故の多い危険な峠に差し掛かっていた。(事故が多い事は、大人になってから聞いたの。。。)
予想通り、自信過剰でのんきな父は、チェーンもつけずに果敢にも下りに差し掛かっていた。
後部座席に座っているものは、明らかに横方向にかかるGの不穏な感覚に恐れ多いていた。
「チェーンをつけたほうが….。」
と、恐怖の中、子供ながらに恐る恐る、父に提言した。
厳格な父は、子供に指摘されたことで、更に意地を見せつけようと躍起になっているように見えた。
と、そのとき。
西部警察のワンシーン、パトカーの車内から車体がスピンする様子を撮ったような光景が目の前に広がった。
「うわー、落ちるー、うわートラック来た!!」
窓からは峠のガードレールが迫ってくる様子、そしてその下に広がる崖がふとみえた。
死んだ…。家族全員がそう思ったとき、車は急停車した。
しばらくの沈黙の中、父が一言。
「スパイクタイヤつけてるからよく止まるわ。」
家族は絶句した。
とりあえず死んでない。
その4へ続く
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